adidas/tobacco atmos koyo autumn/さ、どこへ行こうか。

見た?
商品:adidas TOBACCO atmos “KOYO”
品番:KZ6432
価格:17,600円(記事作成時の掲載価格)
情報元:atmos
超ーかわいいの。
深いブラウンに、赤みを帯びたオレンジのスリーストライプス。紅葉をテーマにした一足で、インソールにも色づいた落ち葉のグラフィックが入っている。
オレンジもブラウンも、使うことに勇気が要る。
色がどうこうという話じゃないんだけど、高円寺の古着屋さんで声かけてくれた店員さんに「君は寒色を着たほうがいいよ。あとワンピース。着ないでしょ全然」と言われたのが尾を引いているかもしれない。ちなみにワンピースは持ってない。
一緒にいてもらうのは全然大丈夫なのにね。
身につけるってなると、何だか恐れ多い。
けど、今回のスニーカーはまっじで可愛い。
そもそもがadidas好きなのもあるか。
NIKEもわりと好きだけど、結局はadidasに帰ってくる気がしてる。
買った人いる?私はまだ迷ってる。
可愛すぎて履くまでに時間かかりそう。
で、結局秋が終わってそう。
………
靴を選ぶとき、格好つくかどうかはよく考える。
スカートに合うか。
上から見おろしてどうか。
自分が履いているところを、商品の前でぐるぐる考える。
でも、誰かの家の玄関で待っている姿まで想像して愛おしくなることは、あまりない。
この靴を見て浮かんだのは、出かけた先で脱ぐところだった。
まだ履いてもいないのに、部屋へ上がる前に一度振り返って見てしまいそうだな、とか。
帰るときには、ちゃんとそこにいるのを見て少しうれしくなっちゃうかもな、とか。
自分が別のことをしているあいだ、その家の靴に混ざって、帰る時間まで待っているんだぜ。
こんなに愛おしさが湧いてくる一足には、なかなか出会えない気がする。
履いてしまえば、落ち葉は見えない。
自分の足で隠して、その上を歩くことになる。
せっかく描いてあるのに、と思う。でも、そこが少しいい。
出かける前には見えていた。
靴紐を結ぶころには、もう見えなくなっている。
それでも足の向こうに秋があることは知っている。
ね。いま足元に秋が隠れてんだぜ。
誰に言うでもなく、そんなことを思って、少しニンマリする。
服や靴には、他人から見えるところとは別に、自分だけが楽しんでいるところがある。
上着の裏地とか、ポケットの中の感触とか。
着ているあいだには見えないタグの文字も、何度か目にするうちに覚えてしまう。
この靴なら、足の下の落ち葉がそれになるのだと思う。
もちろん、ずっと秋を意識しながら歩くわけじゃない。信号を待ったり、よく行くクッキー屋で何を買うか迷ったりしているうちに、靴の中のことなんて忘れる。
ふと足元を見たときに、「いるいる」って思い出すくらいがいい。ブラウンの靴に、オレンジの三本線。そっか今日は秋を連れてきてたんだった。とか思って。
で、友達の家とか行ったりして。
玄関で靴を脱いで、向きを揃える。部屋におじゃまして、「何か飲む?」と聞かれる。おみやげ持ってきた、と答えて、自分が居ても差し支えなさそうな場所に座る。グラデーションみたいに、他愛もない話が始まる。
向こうは気づくだろうか。「凝ってんね」と言われるかもしれない。何も言われないかもしれない。玄関で他人の靴の中を覗き込む人なんて、そうそういない。
自分だけが一度見て、部屋に上がる。それでも十分な気がする。
話しているうちに、外が暗くなる。コーヒーからお酒に変わって、水になる。そろそろ帰ろっかなとか思いながら、名残惜しさに少しだけ話す。立ち上がってからも話が続いて、玄関まで来て、また何か言いかける。
そのあいだ、玄関では秋がおとなしく、ずっとずっと待っている。なるべく行儀よく揃えてみた、小さな秋。
そう考えると、脱いで置いてある姿まで少し好きになる。
靴を履いて、紐を結ぶ。落ち葉が隠れる。
忘れ物がないか聞かれて、カバンとポケットを確かめる。大丈夫、忘れてたら捨てといて。冗談まじりに答えて、ドアを開ける。
すっかり夜で、たぶん「夜ってこんな暗かったっけ」とか言って、来たときより少し冷たい風に「秋じゃん」とか思いながら「またね」と言って歩き出す。
秋は、気づくと終わっている。
ようやく涼しくなったと思っていたのに、もう上着がないと寒い。秋になったら着ようと思っていた服を、何度も着ないうちに冬になる。
この靴を履いて、秋の中を歩ける日も、そう多くないかもしれない。
もちろん、冬になっても履けばいい。来年の秋にも履ける。何ならいっそ、春でも夏でも履いたらいい。それでも、靴の中の落ち葉と外の空気がちょうど合う日は、きっと思うより短い。
そう考えると、誰かに会いに行く予定をひとつくらい入れたくなる。
ご飯を食べるでも、紅葉を見に行くでも。
遊びに行かせてもらえるなら万々歳だし。
帰るころにはやっぱり空気が冷えていて、靴と一緒に帰る。
明日はどこ行きたい?
考えているうちに、秋がまた一歩進んでいる。